倒錯未亡人

著者: 館淳一

本販売日:2000/03/23

電子版配信日:2009/10/23

本定価:535円(税込)

電子版定価:660円(税込)

ISBN:978-4-8296-0954-5

冬美が夫を失って三年。偶然知ったサークルの存在が

自分でも気がつかなかった官能に火をつけた。

尻を激しく打たれてみたい……サトミという名で

スパンカーたちと倒錯の時を過ごす熟れた未亡人。

裏切りのレイプに晒され、女同士の未知の感覚に酔い、

快楽に首まで身を浸す冬美の前に現われたのは……。

登場人物

ふゆみ(29歳)未亡人

きょうこ 年上女(熟)

あすか その他

本編の一部を立読み

ビシッ!

強い衝撃と痛みが、冬美の喉から悲鳴をほとばしらせた。びくんと震える黒いランジェリーの肉体。宙高く持ちあげられた、薄いナイロンに包まれた形よい脚が爪先まで弾んだ。

「いい感触だ。みっちり詰まった肉だ。なんともいえん」

須賀野は嬉しそうな評価をくだし、二発、三発と強烈なスパンクを浴びせてきた。

打たれるために自分の膝を抱えさせられている冬美は、苦痛に顔を歪め、唇からは悲鳴と呻き、許しの言葉をひっきりなしに吐きだした。

涙にぼやけた視界の向こうに、ギラギラと目を輝かせ、無慈悲に腕を振りあげ、振りおろす須賀野の顔が見える。それで冬美の羞恥はいっそう強められた。

この仰臥屈曲位の特徴は、臀部を打ち叩きながら、スパンカーがスパンキーの泣き叫ぶ表情をじっくり観察することができる。これはオーバー・ザ・ニーであれ、ベント・オーバー・ザ・ニーであれ、他のポジションでは鏡を使わないかぎり不可能なことだ。後ろにある尻を叩くのだから、本来は前にある顔を見ることができない。

スパンカーの愉しみの一つは、叩かれて泣き悶え、許しを願うスパンキーたちの反応を見ることだ。この屈曲位は、打たれるたびに歪む女の顔を直視できる。

須賀野は明らかに女の顔が苦痛や恐怖や羞恥によって歪むのを見るのを好むタイプだった。

「もっと泣け、わめけ。暴れてみろ」

過剰なまでの反応を要求しながら、容赦ない打擲を浴びせつづける男の顔には、陶酔の色が浮かんでくる。

「ああーッ、許して! もうがまんできません! 痛い、痛ぁああい! ひーッ、死んでしまいます」

「馬鹿な。スパンキングで死ぬものか。この程度で音をあげるとはけしからん女だ」

理不尽な言葉を吐き散らしながら女の尻を素手で叩きのめす須賀野の顔も歪み、まるで悪鬼のようだ。その顔色は酒をしたたか呑んだように真っ赤になり、全身が水をかぶったように汗まみれになった。腕を振りおろすたび、彼の体から飛び散る汗がボタボタと冬美の紅潮してゆく肌に振りかかった。

いつものように、いや、それまでの三回よりずっと早く、冬美は、あの浮遊するような感覚を味わいはじめた。苦痛を超えて自分の体内に溢れかえる快美な感覚の泡。その泡が膨らんで自分の身体を重力に抗して宙に浮かびあがらせようとする。そんな感覚だ。不思議なことに、打撃と打撃の合間にその感じが強くなる。

やがて、冬美は頭のなかが真っ白になった。叩かれると自動的に悲鳴がほとばしり、呻き、泣き叫んでいるのに、理性の部分が痺れてしまっている。聞こえている絶叫が、自分があげているのか誰か別の人間のものか判別がつかない。

完全に身体が宙に浮き、冬美は身体が内側から弾けてしまったような衝撃を味わった。全身の肉が溶けてしまうような甘美な感覚を伴った衝撃。

「ふうむ、こんなのは初めてだぜ、おれも……」

気がついた時は、汗まみれの身体はソファにうつ伏せに横たえられていた。パンティは膝のところまで引きおろされ、さんざんに打ち叩かれて真っ赤に変色した臀部を、須賀野はまた手持ちカメラで舐めるように接写している。

「ほら、脚をひろげて……うーん、すごい洪水だ」

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