無口無表情な幼馴染が「ハメ撮りがしたい」とか頼んできて

著者: しじままどせ

電子版配信日:2024/02/22

電子版定価:880円(税込)

僕の幼馴染の雪村佐保は、クールなポーカーフェイスのメガネ美少女で、
ハメ撮りがしたいらしい。しかも、相手は誰でもいいとか言い出して!
そんなの許せるわけがない。だって彼女は僕がずっと好きな初恋の人だから。
彼女が誘ったラブホなのに、まっすぐな愛の言葉で、不器用なファーストキスで、
まるで恋人みたいな表情を見せる佐保。一体僕をどう思っているんだ!
Webで大人気の両片想いな純愛劇! 大幅書き下ろし三万字追加!

目次

1 ハメ撮りがしたい幼馴染

2 僕の幼馴染はラブホでロケハンするような子

3 幼馴染のシャワーシーン

4 パンツと決意

5 インタビューとキスシーン

6 ギョニソとペニスの類似性について

7 ハメ撮り前夜の回想シーン

8 幼馴染の人生初フェラチオを堪能する

9 ハメ撮りの照明についての葛藤

10 幼馴染を脱がせた

11 カメラに向かってピース

12 幼馴染はクンニされたい

13 主観クンニ撮影

14 ハメ撮り破瓜セックス

15 アイラブユー

16 両親不在の幼馴染の家に泊まろう

17 リビングにてハメ撮り鑑賞

18 リビング前戯

19 リビング対面座位

20 お風呂にて

21 ローション手コキ

22 ローション愛撫マッサージ

23 お風呂でぬちゃどろセックス

24 ゴム破れ

25 幼馴染の部屋にて

26 生ハメ

27 窓の月

28 約束

番外編1 ロケーション・ハンティング

番外編2 ラブホテルで生ハメ撮り

番外編3 ホテルの浴室で生ハメ撮り

本編の一部を立読み

1 ハメ撮りがしたい幼馴染



「……ハメ撮りがしたい」
 幼馴染の雪村佐保が前置きもなく唐突にそんなことを言い出したのは、放課後の教室だった。
 夕日が窓から差し込んできて長い影を床に落としていた。グラウンドからは運動部の掛け声や吹奏楽部の間延びした金管楽器の音が流れてきていた。この教室には僕と佐保しかいなかったから、佐保が僕に言ったことは明白だった。
「えーっと、なんだって?」
 聞き間違いかと思って僕は思わず聞き返した。だってハメ撮りだなんて、少なくとも日常会話で頻出する単語ではない。
 だからおそるおそる彼女を見やると、彼女は窓際の席に座ったまま無表情に分厚い文庫本を読んでいた。
 佐保は無口無表情な美少女だ。体格的には小柄で華奢で性格も大人しいのだけれど、いつも背筋を伸ばしているので少しだけ目立っている。
 さらさらとした栗色の髪をショート・ボブにしているのと、大きな丸いフチなし眼鏡がチャームポイントな、僕の幼馴染である。僕とは三歳の頃からのお隣さんで、別に交際をしているわけではないけれどずっと一緒に居る、そんな関係だ。
 そんな彼女のほっそりとした横顔は、夕日に照らされて赤く染まっていた。夕日がその丸い眼鏡に反射していて、表情は読めない。いや、佐保のことだからいつもながら無表情なのだろうけれど。
 いや、でも無表情に「ハメ撮りがしたい」だなんて言う子がいるだろうか。僕の聞き間違いだったのではないだろうか。
「佐保、なんだって?」
 返事がないのでもう一度尋ねると、佐保は読んでいる本をパタンと閉じてこちらをジッと見た。理知的で冷静な視線が大きな丸眼鏡越しにこちらに注がれる。
「ハ・メ・撮・り」
 そしてもう一度言われた。
 淡々と、はっきりとした口調だった。
 だから今度はちゃんと聞こえた。でも彼女がいきなりそんなことを言い出した意味がわからなかった。
 冗談を言っているように見えなかった。けれど、その感情はいつものことながら、読めない。佐保はいつでもポーカーフェイスなのだ。
「ハメ撮りって、どういう事かな? なんでまた急に?」
「…………」
 答えはなかった。ただ沈黙があるだけだ。
 どうしたものかなあ、と思う。この幼馴染の少女は昔からものすごく言葉が少ないのだ。
 意思疎通ができないというわけでもないのだけれど、何も言ってくれないから何を考えているのかわからないことがけっこうある。
 今だってそうだ。
 どうして彼女が突然こんなことを言い出したのか、理由がさっぱりわからないのだ。だって僕たちは恋人同士でも何でもない。ただの幼馴染でクラスメイトなのだ。
 佐保の友人の中ではかなり仲が良い方だとは自覚しているけれど、それ以上の関係ではないはずだ。
「あのー、佐保さん? 一応確認するんだけど、ハメ撮りってなんだろうか。えっと、いわゆるいやらしいことであるように思われるんだけど」
「そう。わたしとあなたがセックスをする。その模様を撮影して記録する」
 いや、まあ、予想通りと言えば予想通りの回答だった。ハメ撮りが何なのか勘違いをしている様子はない。残念ながら。
 しかし、どうして佐保はそんな結論に至ったのだろう。その思考の過程がまったく想像できない。
「それはつまり、僕たちがえっちなことをしてるところを映像に収めたいっていうこと、だよね? どうしてそんな気持ちになったのかぜんぜんわからないんだけど、とにかくセックスを録画したいってこと、なんだね?」
「そう」と、佐保は無表情のままうなずいた。そして付け加えるように「それがわたしの小説の資料になるから」と言った。
 |小《・》|説《・》|の《・》|資《・》|料《・》。なるほど。
 それでようやく納得できた気がした。
 佐保は作家志望なのだ。ファンタジー系の作家を目指しているらしい。
 彼女は幼稚園の頃から物語を書くのが好きで、お絵描きよりも、かけっこよりも、空想のお話を読んだり書いたりするのが好きな子だった。
 十歳の頃に試しに新人賞に応募してみて、初めての投稿でいきなり一次選考を突破したことがあった。あの時はふたりして飛び跳ねて喜んだっけ。
 それ以後ずっと投稿を続けているらしい。
 去年は残念ながら落選してしまったけれど、来年こそは賞を取りたいと息巻いている。
 その小説執筆のために、参考資料を集めているということだろう。前提としてそこまでは理解ができた。
 だけど、
「でも、そもそもなんで僕と佐保がそういうことをしなくちゃいけないのかな?」
 そこのところがよくわからない。
 もちろん僕だってそれなりに健全な男子だし、童貞である以上は女子に興味がないわけではない。むしろ興味津々だと言ってもいい。
 そのうえ、相手が佐保のような美少女ならなおさらだ。
 性格が大人しいのでクラスではあまり目立つ方ではないけれど、佐保の見た目はとてもかわいいのだ。『眼鏡を取ると美少女』などというステレオタイプがあるけれど、佐保は『眼鏡を取らなくても美少女』だ。
 それに体つきだって小柄で華奢だけれど肌はめちゃくちゃ滑らかで綺麗だし、胸のサイズは慎ましいにしろ無ではないし、その細い指は爪の先まで整っているし、とにかく頭の上からつま先まで全身余すところなく美少女なのだ。
 まあ、佐保は僕の初恋の相手でもあるので、この評価はひょっとすると僕の贔屓目が入っているかもしれないけれど。
 ただ、しかし、だからといって、彼女とそういった行為をするのは少し抵抗があった。
 僕らはまだキスさえしていない間柄なのだ。残念ながらただの幼馴染なのだ。
 なのに、いきなり性行為を撮影するなんて言われても、困る。
 まずはデートとかしてお互いを知るところから始めるべきだ、と僕は考えている派だ。
「ハメ撮りの相手が、必ずしもあなたである必要はない」
 ところが僕の考えはあっさり否定された。にべもない、あっさりとした、淡々とした言い方で。
 でも、まあ、そりゃそうか、と僕は思った。
 佐保はあくまで創作の取材としてハメ撮りを提案しただけであって、別にその行為に及ぶ相手が僕である必要はまったくないのだろう。
 それにしたって、まったくにべもない言い方だとは思うけれど。もっとこう、仲のいい幼馴染に対する手心みたいなものが欲しいと思うけれど。
 それはさておき、気になる点がひとつ。
「じゃあ、相手が僕以外なら、誰とやるんだよ」
 佐保に恋人がいるという話は聞いたことがない。
 というか、僕以外に仲のいい男の友達がいるなんて様子は見たことがない。なんなら男子と喋っているところさえほとんど見たことがない。
 当然ながら、手近に佐保がハメ撮りをできる相手がいるとは思えない。
「あなたが断るなら、出会い系サイトで適当な相手を探すことになる。ハメ撮りオーケーな人を探して連絡を取るつもり」
「ちょっ!?」
 僕は慌てた。
 さすがにそれは止めないといけないと思った。
 出会い系なんて、いくら何でもそれは危険というか、貞操観念がゆるすぎる。自分の好きな子が不特定多数の男に身体を許すような事態は避けなければならない。
「実はもうマッチングしてある」
 そう言って佐保は自分のスマホを取り出した。そこには『ハメ撮りオーケーです☆』というメッセージが表示されている。
「すでにメールで連絡も取ってある。あなたが断るなら、今からこの男のところへ行く」
 彼女が差し出したスマホの画面には見知らぬ男が映っていた。
 小太りの冴えない風貌をした男だった。いかにも性欲を持て余していますといった感じの顔つきをしている。ベタッとした髪型や服装からも下心が透けて見えるようだ。
 この男は、きっと、欲望に任せた汚いセックスをするのだろう。
 怒りで、カーッとなった。
(こんな奴に佐保を渡せるか!!)
 心の底からそう思った。
 佐保が見知らぬ男に抱かれるなんて、誰かとセックスをするなんて、そんなのは絶対に嫌だった。
 こいつに佐保を渡してたまるか、という気持ちになった。
「やめろ!」
 と、僕は叫んだ。
「僕がハメ撮りの相手になってやる! 撮影でもなんでもすればいいじゃないか! だからそんな男のところに行くのはやめろ! 僕のところに居るんだ!」
 自分でもよくわからないうちに口から言葉が出ていた。
 事の重要性なんてまったく考えていなかった。自分が承諾したことの意味もまったくわかってなった。
 そんなことよりも、ただ、佐保が見知らぬ男に抱かれるというのが不快でならなかったのだ。
「そう。よかった」
 無表情なまま、それでもどこか嬉しそうな声色で佐保が言った。
 ホッとした様子だった。
 それから佐保はスマホを下ろして、『ハメ撮りオーケーです☆』男の表示を消した。
 こちらも短くため息をつく。
「じゃあ、よろしく」と佐保。
「あ、うん」と僕。なんだか背中を冷や汗が流れている。
「あー、でも、一応、僕の方からもハメ撮りをするのに、条件をつけたいんだけど」
「……なに?」
「まず、僕にもその映像をくれること。あと、僕以外の人間には絶対に見せないこと。約束できるかな」
 佐保はしばらく黙り込んで、それから小さくうなずいた。
「わかった。それくらいの条件なら飲む。わたしとしても、他の人に見せるのはあまり良くないと思うから」
「よし、交渉成立だね」
 ホッと胸を撫で下ろす。
 これでひと安心だ。とりあえずこの場は乗り切れそうだ。佐保が他の男に抱かれる未来は回避できた。
 よかった、よかった。
 そこまで考えて、ハッとした。
 ようやく気がついたのだ。自分が佐保とセックスをする約束をしたことに。
 しかも、その様子が撮影されるのだ。
(いやいやいやいやいや、待って待って。何やってんの僕? なんでそんな話に乗ってるの?)
 思わず頭を抱えそうになった。
 冷静になるととんでもない状況だった。幼馴染の女の子とセックスをする。しかもただのセックスではない。ハメ撮りだ。
 なんということだ。
 どうしてこうなった。
 呆然と僕が立ち尽くしていると、その袖を、佐保がくいくいと引っ張った。見ると、彼女はまた例の感情の読めない目つきでこちらを見上げている。
「行こ」
「い、行くって、どこに?」
「ラブホ」
 短く、端的に、佐保は答えた。
 そして僕の袖を掴んだままグイグイと歩き出す。
 仕方なく僕はほとんど引きずられるようにして彼女の後に続いた。どうやら僕はこれから好きな女の子とハメ撮りをすることになったらしかった。

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